空き家をホテル・ゲストハウスとして活用する方法|まず結論

「実家が空き家のままになっているが、更地にして手放すのはもったいない。ホテルやゲストハウスとして活用できないだろうか」——インバウンド需要の高まりを背景に、そう考える方が増えています。

結論からお伝えすると、空き家を宿泊施設として活用するには、原則として旅館業法に基づく許可が必要です。住宅を使って宿泊サービスを提供する場合、フロント(玄関帳場)の設置義務がない「簡易宿所営業」で許可を取得するのが一般的ですが、客室の広さなど満たすべき構造設備基準があります。

30秒でわかるこの記事の結論

空き家を宿泊施設として活用する方法には、ホテル・旅館営業、分散型ホテル、簡易宿所営業、民泊の4つがあります。住宅を活用する場合は「簡易宿所営業」の許可取得が一般的ですが、客室の延床面積33平方メートル以上などの構造設備基準を満たす必要があります。要件を満たせない、または費用や手間が見合わない場合は、売却(買取)という選択肢もあります。

  • 宿泊サービスの提供には旅館業法に基づく許可が原則必要(無許可営業は罰則の対象)
  • 住宅を活用する場合はフロント設置義務のない「簡易宿所営業」が一般的
  • 要件を満たせない場合は売却(買取)も現実的な選択肢

本記事では、空き家をホテル・ゲストハウスとして活用する4つの方法、簡易宿所営業の許可要件と取得までの流れ、活用が難しい場合の選択肢まで、一次情報に基づいて解説します。断りがない限り、本記事の内容は2026年8月時点の制度に基づいています。

空き家をホテルとして活用する4つの方法

空き家を宿泊施設として活用する方法は、大きく4つに分けられます(厚生労働省|民泊サービスを始める皆様へ~簡易宿所営業の許可取得の手引き~、2026年8月15日確認)。

  • ホテル・旅館営業:旅館業法上の正式な営業種別。フロント(玄関帳場)またはその代替設備の設置が義務づけられている
  • 分散型ホテル:地域に点在する複数の空き家を、それぞれ客室に見立てて一体的に運営する形態。地域再生の文脈で事例も見られる
  • 簡易宿所営業:宿泊する場所を多数人で共用する構造・設備を主とする施設。住宅を活用して宿泊サービスを行う場合、一般的に選ばれる許可区分
  • 住宅宿泊事業(民泊):住宅宿泊事業法に基づく届出制。ただし年間180日以内の実施制限があり(条例によりさらに短縮される場合もある)、180日を超えて営業するには原則として旅館業法の許可が必要

このうち、住宅を活用して民泊サービスを行う場合は、旅館・ホテル営業に義務づけられているフロント(玄関帳場)の設置義務が国の法令上ない「簡易宿所営業」の許可を取得するのが一般的です(ただし自治体の条例でフロント設置を義務づけている場合があります)。

相談者
住宅宿泊事業(民泊)の届出だけで運営できるなら、それが一番簡単そうですね。
福田
宅建士

住宅宿泊事業は届出だけで始められる手軽さがありますが、年間180日以内という実施制限があります。しっかり収益化を目指すなら、通年で営業できる旅館業法の許可(簡易宿所営業)を検討する方が現実的なケースが多いです。

空き家の宿泊施設活用には、ホテル・旅館営業、分散型ホテル、簡易宿所営業、民泊の4つの方法があります。住宅を活用する場合はフロント設置義務のない簡易宿所営業が一般的です。

簡易宿所営業の許可要件|構造設備基準

簡易宿所営業の許可を取得するには、使用する施設の構造設備が次の基準を満たす必要があります(旅館業法施行令第1条第2項、同資料)。

項目 基準
客室の延床面積 33平方メートル以上(宿泊者数を10人未満とする場合は、3.3平方メートル×宿泊者数でも可)
階層式寝台 上段と下段の間隔はおおむね1メートル以上
換気・採光・照明・防湿・排水 適当な設備を有すること
入浴設備 近接して公衆浴場がある等の場合を除き、宿泊者の需要を満たす規模の設備を有すること
洗面設備・便所 宿泊者の需要を満たす適当な規模・数を有すること
その他 都道府県が条例で定める構造設備の基準に適合すること

2016年(平成28年)4月には簡易宿所の許可基準が緩和され、客室に必要な延床面積の基準について、一度に宿泊させる宿泊者数が10人未満の施設であれば、3.3平方メートルに宿泊者数を乗じた面積以上であれば許可を受けられるようになりました。空き家のように延床面積が33平方メートルに満たない物件でも、宿泊者数を絞ることで基準を満たせる可能性があります。

33㎡以上客室の延床面積
(原則)

3.3㎡×人数宿泊者10人未満
の場合の緩和基準
相談者
フロント(玄関帳場)を作らなくていいのは助かります。空き家をそのまま使えそうですね。
福田
宅建士

国の法令上の義務はありませんが、自治体によっては条例でフロント相当の設備を求めているケースもあります。必ず事前相談の段階で、施設を管轄する保健所に確認してください。

簡易宿所営業の許可には、客室延床面積33平方メートル以上(宿泊者10人未満なら3.3平方メートル×人数でも可)などの構造設備基準を満たす必要があります。

許可取得までの流れ

旅館業法に基づく許可は、施設が所在する都道府県(保健所を設置する市、特別区を含む)の保健所に申請します。一般的な流れは次のとおりです(同資料)。

  • ①事前相談:施設の所在地・図面、建築基準法・消防法への適合状況、マンション管理規約(民泊が禁止されていないか)などの確認を求められることがある
  • ②許可申請:許可申請書・営業施設の図面・自治体が条例等で定める書類を提出。申請書の様式や添付書類は自治体ごとに異なる
  • ③施設検査:保健所職員等による立入検査。構造設備基準を満たしていることが確認されるまで許可は取得できない
  • ④許可・営業開始:保健所の許可を得れば営業を開始できる。申請から許可までの標準的な期間は数週間程度(地域・時期により差がある)

申請者本人が成年被後見人等・破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者・一定の刑に処せられた者・暴力団員等に該当する場合や、施設の設置場所が学校・幼保連携型認定こども園・児童福祉施設・社会教育施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域内にあり清純な施設環境が著しく害されるおそれがある場合などは、許可を得られないことがあります。

無許可で旅館業を営むことは旅館業法違反にあたり、旅館業法第10条では「許可を受けないで旅館業を経営した者は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」と定められています。

許可取得は「事前相談→許可申請→施設検査→許可・営業開始」の順で進みます。標準的な期間は数週間程度ですが、詳細は施設を管轄する保健所に確認が必要です。

建築基準法・消防法など旅館業法以外に確認すべきこと

旅館業法の許可を得られたとしても、それだけで営業を始められるとは限りません。次の点も確認が必要です(同資料)。

  • 建築基準法:旅館業の立地が禁止されている地域がある。用途変更の建築確認手続きが必要になる場合がある(手続きの要否にかかわらず建築基準法への適合は必要)
  • 消防法:消防用設備等の設置、出火防止、避難、通報等の防火安全対策が必要
  • 賃貸契約・管理規約:他者から借り受けた建物を使う場合は、転貸(又貸し)が禁止されていないか、民泊サービスへの使用が可能か貸主・管理会社に確認する。分譲マンションの場合は管理規約で用途制限されていることが多く、事前に管理組合への相談が望まれる

旅館業法の許可のほか、建築基準法の用途変更手続き、消防法上の防火安全対策、賃貸契約・管理規約の確認も必要です。

メリット・デメリット

空き家をホテル・ゲストハウスとして活用するメリットは、更地化や売却をせずに建物を収益化できる点、地域の観光資源として地域再生に貢献できる点にあります。分散型ホテルのように地域に点在する空き家を面的に活用する取り組みも、各地の自治体・民間団体で進んでいます。

一方で、デメリットとして、許可取得までの手続きに時間と費用がかかること、構造設備基準を満たすための改修費用が発生する場合があること、開業後も宿泊者名簿の備え付け・寝具の交換など衛生管理上の義務が継続すること、集客・運営を軌道に乗せるまでのノウハウが必要なことが挙げられます。

相談者
許可を取るだけでも大変そうですし、その後の運営まで考えると、正直自信がありません…
福田
宅建士

ホテル活用は魅力的な選択肢ですが、許可取得・改修・運営のすべてに継続的な手間がかかります。「まずは活用を検討したが、要件や費用面で難しいと判断した」という場合は、無理に進めず売却を選ぶのも十分に合理的な判断です。

建物を収益化・地域資源化できる魅力がある一方、許可取得の手続き・改修費用・継続的な運営の手間というハードルもあります。

活用が難しい場合は売却(買取)という選択肢も

構造設備基準を満たすための改修に多額の費用がかかる場合や、そもそも相続手続きが未了で活用に着手できない場合、あるいは運営の担い手が見つからない場合は、空き家を売却するという選択肢も現実的です。

相続した空き家であれば、まず相続登記や遺産分割などの手続きが済んでいる必要があります。相続放棄をした場合に管理義務が残ることがある点は、以下の記事で詳しく解説しています。

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老朽化していて仲介では買い手が見つかりにくい場合や、再建築不可などの制約がある場合は、買取という選択肢が現実的になることがあります。

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改修費用や運営の担い手といった課題で活用が難しいと判断した場合は、売却(買取)も現実的な選択肢です。

空き家買取.comの買取査定について

本サイト「空き家買取.com」は、株式会社Triikuが運営しており、空き家・相続物件の直接買取を専門に行っています。

  • 宅地建物取引業免許番号:東京都知事(01)第111976号
  • 所在地:〒105-0003 東京都港区西新橋2丁目39番3号 SVAX西新橋ビル4F
  • 電話番号:03-6845-0996(受付時間 10:00〜19:00、年中無休)

株式会社Triiku 公式サイト|会社概要、2026年8月15日確認)

「ホテル活用を検討したいが、まず物件の状態や売却した場合の目安額も知っておきたい」という段階でも、まずは無料査定のご相談が可能です。

よくある質問

Q1. 空き家をホテルとして活用するには、どんな方法がありますか?

ホテル・旅館営業、分散型ホテル、簡易宿所営業、住宅宿泊事業(民泊)の4つの方法があります。住宅を活用する場合は、フロント設置義務のない簡易宿所営業で許可を取得するのが一般的です。

Q2. 分散型ホテルとはどのような仕組みですか?

地域に点在する複数の空き家を、それぞれ客室に見立てて一体的に運営する宿泊施設の形態です。地域再生の文脈で事例も見られます。

Q3. 空き家をホテルにするにはどうすればいいですか?

原則として旅館業法に基づく許可が必要です。施設が所在する都道府県(保健所を設置する市、特別区を含む)の保健所に、事前相談を経て許可申請を行い、施設検査に合格すると許可を得られます。

Q4. 住宅宿泊事業(民泊)の届出だけで営業できますか?

年間180日以内であれば住宅宿泊事業法の届出で営業できます(条例によりさらに短縮される場合があります)。180日を超えて営業するには、原則として旅館業法の許可が必要です。

Q5. 簡易宿所営業の許可を取るのにどれくらいの費用や期間がかかりますか?

申請から許可までの標準的な期間は数週間程度とされていますが、地域や時期によって差があります。手数料の具体的な金額は自治体ごとに異なるため、施設を管轄する保健所の旅館業法担当窓口への確認が必要です。

Q6. 要件を満たせない場合はどうすればいいですか?

構造設備基準を満たすための改修費用が見合わない場合や、相続手続きが未了の場合などは、無理に活用を進めず売却(買取)を検討するのも現実的な選択肢です。

まとめ|活用には許可要件の確認が必須。難しければ売却も選択肢

この記事の要点

  • 空き家のホテル活用にはホテル・旅館営業/分散型ホテル/簡易宿所営業/民泊の4方法がある
  • 住宅活用では簡易宿所営業(客室33㎡以上、宿泊者10人未満なら3.3㎡×人数でも可)が一般的
  • 許可取得は事前相談→許可申請→施設検査→許可の順で進む
  • 要件や費用面で難しければ売却(買取)も現実的な選択肢

空き家をホテル・ゲストハウスとして活用することは、地域再生にもつながる魅力的な選択肢です。ただし、旅館業法上の許可取得には構造設備基準を満たす必要があり、建築基準法・消防法など他の法令への対応も欠かせません。まずは施設を管轄する保健所への事前相談から始め、要件や費用面で難しいと判断した場合は、売却という選択肢もあわせて検討することをおすすめします。

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