相続税の不動産評価額はどう決まる?まず結論

相続した実家や土地の相続税を考えるとき、「不動産はいくらとして評価されるのか」で迷う方は少なくありません。固定資産税の納税通知書に書かれた金額とも、実際に売れそうな金額とも違う数字が出てくるため、混乱しやすいポイントです。

結論からお伝えすると、相続税を計算するときの不動産(土地・家屋)の評価額は、時価(実勢価格)ではなく、国税庁が定めた方法で算出します。土地は「路線価方式」または「倍率方式」、家屋は固定資産税評価額をそのまま使う方法で評価します(国税庁 No.4602|土地家屋の評価、2026年8月12日確認)。

30秒でわかるこの記事の結論

相続税の不動産評価額は、時価ではなく国税庁が定めた方法で算出します。土地は路線価方式か倍率方式、家屋は固定資産税評価額がそのまま基準になります。

  • 土地の評価は路線価方式(路線価がある地域)か倍率方式(路線価が無い地域)のいずれか
  • 家屋の評価額は固定資産税評価額と同じ
  • 相続税評価額は売却できる金額(実勢価格)とは別物

本記事では、土地・家屋それぞれの評価方法と、簡易的な計算例、基礎控除額・税率を使った相続税額の計算の流れを解説します。実際の納付税額には税額控除など個々の事情に応じた調整が必要になるため、詳しくは税理士への相談をおすすめします。断りがない限り、本記事の内容は2026年8月時点の制度に基づいています。

土地の評価方法|路線価方式と倍率方式

相続税を計算するときの土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。どちらの方式を使うかは、土地が所在する地域によって決まります(国税庁 No.4602|土地家屋の評価、2026年8月12日確認)。

路線価方式(路線価が定められている地域)

路線価方式は、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額(路線価)が定められている地域で使う方法です。路線価は国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。

評価額の基本的な考え方は、次のとおりです(国税庁 No.4604|路線価方式による宅地の評価、2026年8月12日確認)。

土地の評価額 = 路線価 × 各種補正率(奥行価格補正率など) × 面積

土地の形状(奥行きの長さ、間口の狭さ、不整形など)に応じて、路線価にかける補正率が細かく変わります。正面だけでなく側方・裏面にも路線がある土地は、側方路線影響加算額・二方路線影響加算額も加わります。

相談者
補正率がいろいろあると聞くと、自分では計算できない気がしてきました…
福田
宅建士

形の整った標準的な土地であれば、大まかな目安は「路線価×面積」でイメージできます。ただし実際の補正率は土地の形状や地区区分によって細かく変わるため、正確な評価額を出したいときは税理士に確認することをおすすめします。

倍率方式(路線価が定められていない地域)

倍率方式は、路線価が定められていない地域の土地を評価する方法です。次の式で計算します(国税庁 No.4606|倍率方式による土地の評価、2026年8月12日確認)。

土地の評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

固定資産税評価額は、都税事務所や市(区)役所・町村役場で確認できます。倍率は、路線価と同じく国税庁の「評価倍率表」で確認できます。

自分の土地がどちらの方式に該当するかは、国税庁ホームページの路線価図・評価倍率表を地域で検索すると分かります。路線価が表示されていれば路線価方式、表示がなく倍率だけが載っていれば倍率方式です。

土地の評価は、路線価がある地域なら路線価方式(路線価×補正率×面積)、無い地域なら倍率方式(固定資産税評価額×倍率)で計算します。

家屋の評価方法|固定資産税評価額がそのまま基準

家屋(建物)の相続税評価額は、土地よりもシンプルです。次の式で計算します(国税庁 No.4602|土地家屋の評価、2026年8月12日確認)。

家屋の評価額 = 固定資産税評価額 × 1.0

つまり、家屋の相続税評価額は、固定資産税評価額とまったく同じ金額になります。毎年送られてくる固定資産課税明細書の「価格」または「評価額」欄の金額が、そのまま相続税評価額です。

ここまでは、自分が住んでいた・使っていた不動産(自用地・自用家屋)を前提とした評価方法です。賃貸されている土地・家屋の評価は、次の「賃貸中の土地の評価」で解説します。

家屋の相続税評価額は「固定資産税評価額×1.0」、つまり固定資産税評価額とそのまま同じです。

賃貸中の土地(貸宅地・貸家建付地)の評価

自分で使っていない、他人に貸している土地は、自用地よりも評価額が低くなります。所有者が自由に使えない分だけ、権利が制約されているためです。代表的な2つのケースを解説します。

貸宅地(借地権が設定されている土地)

貸宅地とは、借地権など宅地の上に存する権利の目的となっている宅地のことです。建物の所有を目的として他人に土地を貸している場合が該当します。評価額は次の式で計算します(国税庁 No.4613|貸宅地の評価、2026年8月13日確認)。

貸宅地の評価額 = 自用地としての価額 - 自用地としての価額 × 借地権割合

「借地権割合」は、路線価・倍率と同じく、国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で地域ごとに確認できます。

貸家建付地(アパート等を建てて貸している土地)

貸家建付地とは、所有者が建てたアパートやビルなどを他人に貸し付けている場合の、その敷地のことです。評価額は次の式で計算します(国税庁 No.4614|貸家建付地の評価、2026年8月13日確認)。

貸家建付地の評価額 = 自用地としての価額 - 自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合

「借地権割合」「借家権割合」も財産評価基準書で確認できます。「賃貸割合」は、アパート等の各独立部分(各部屋)のうち、実際に賃貸されている部分の割合です。継続的に賃貸してきた部屋が、相続開始時にたまたま一時的な空室になっていただけの場合は、賃貸されていたものとして扱ってよいとされています。

相談者
実家の隣にアパートを持っていて、他人に貸しています。この土地も評価額が下がるということですか?
福田
宅建士

はい、貸家建付地に該当すれば、自用地としての評価額から一定割合を差し引けます。ただし借地権割合・借家権割合は地域や建物によって異なり、賃貸割合の判定も個々の状況次第です。正確な評価額を出すには、税理士に相談することをおすすめします。

貸宅地は「自用地の価額-自用地の価額×借地権割合」、貸家建付地は「自用地の価額-自用地の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」で評価額が下がります。割合は財産評価基準書で確認できます。

具体的な計算例(簡易試算)

数字のイメージをつかむために、簡易的な試算例を2つ紹介します。いずれも標準的な整形地で各種補正率が1.00の場合を仮定した簡易計算であり、実際の評価額は土地の形状等によって変わります。

  • 路線価方式の例:路線価20万円/㎡、土地の面積200㎡の場合 → 20万円×200㎡=4,000万円(各種補正率を1.00とした簡易計算)
  • 倍率方式の例:固定資産税評価額800万円、倍率1.1の場合 → 800万円×1.1=880万円
2方式土地の評価は
路線価方式・倍率方式

1.0家屋の評価額は
固定資産税評価額のまま

家屋についても、固定資産課税明細書の「価格」または「評価額」欄がそのまま評価額になるため、計算というより金額を転記するだけで済みます。

自分の不動産の評価額を大まかに確認する手順は、次のとおりです。

  • 国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、土地の所在地に路線価が付いているか確認する
  • 路線価がある場合は路線価×面積、無い場合は固定資産税評価額×倍率で土地の概算額を出す(正確な補正率の適用は税理士に確認)
  • 家屋は固定資産課税明細書の「価格」または「評価額」欄をそのまま使う

標準的な整形地であれば「路線価×面積」または「固定資産税評価額×倍率」で概算できます。正確な評価額の算定は税理士への確認をおすすめします。

なお、相続した不動産にかかる税金・費用は、ここまで解説した相続税評価額(相続税の計算に使う金額)だけではありません。相続登記の際にかかる登録免許税は、相続税評価額とは別に、固定資産税評価額を基準にした課税価格から計算します。登録免許税の税率・早見表・免税措置は、以下の記事で詳しく解説しています。

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不動産の評価額から相続税額を出すまでの流れ

ここまでで不動産の評価額が分かったら、次に気になるのは「結局、相続税はいくらかかるのか」という点です。相続税額そのものは、次の順序で計算します(国税庁 No.4152|相続税の計算、2026年8月13日確認)。

  • 不動産・預貯金など、相続人ごとの課税価格を計算する
  • 各人の課税価格を合計し、課税価格の合計額(正味の遺産額)を出す
  • 課税価格の合計額から基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を計算する
  • 課税遺産総額を各法定相続人が法定相続分どおりに取得したと仮定し、各人の取得金額に税率を適用して相続税の総額を計算する
  • 相続税の総額を、実際に財産を取得した割合に応じて各人に振り分け、税額控除を差し引いて納付税額を出す

このうち③の基礎控除額は、次の式で計算できます(同資料)。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

(注)法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の人数で数えます。

3,000万円基礎控除額の
定額部分

600万円法定相続人1人あたりの
加算額

たとえば法定相続人が2人の場合、基礎控除額は3,000万円+600万円×2人=4,200万円です。課税価格の合計額がこの基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。

課税遺産総額が基礎控除額を超える場合、④の税率適用・⑤の按分の段階に進みます。ここで使う税率は、各法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額に応じた累進税率であり、地域や物件の個別条件によらず全国一律です(国税庁 No.4155|相続税の税率、2026年8月15日確認)。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超〜3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超〜5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超〜1億円以下 30% 700万円
1億円超〜2億円以下 40% 1,700万円
2億円超〜3億円以下 45% 2,700万円
3億円超〜6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

たとえば、法定相続人が妻と子2人(法定相続分は妻2分の1・子はそれぞれ4分の1ずつ)で、課税遺産総額が1億5,200万円の場合、法定相続分に応ずる取得金額は妻が7,600万円、子がそれぞれ3,800万円になります。これを速算表に当てはめると、妻の算出税額は7,600万円×30%-700万円=1,580万円、子の算出税額は3,800万円×20%-200万円=560万円(2人分で1,120万円)となり、合計した相続税の総額は2,700万円です(同資料の計算例)。

この相続税の総額を、実際に財産を取得した割合に応じて各人に振り分け、配偶者の税額軽減などの税額控除を差し引いたものが、各人の実際の納付税額になります。税額控除の適用は個々の家族構成・財産状況によって異なるため、具体的な納付税額の計算は税理士にご相談ください。

相続税額は「課税価格の合計-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」で課税遺産総額を出し、法定相続分に応ずる取得金額ごとに10%〜55%の累進税率(控除額あり)を適用して計算します。基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。

相続税評価額と「売れる金額」は別物

ここまで見てきた相続税評価額は、あくまで相続税を計算するための税務上の評価額です。実際に不動産会社に売却したときに得られる金額(実勢価格・売却査定額)とは、必ずしも一致しません。

相談者
相続税評価額が分かれば、売ったときの金額もだいたい分かりますか?
福田
宅建士

目安にはなりますが、同じ金額にはなりません。相続税評価額は路線価などをもとにした税務上の評価で、実際に売れる金額は立地・建物の状態・周辺の取引事例など、査定を通じて別に確認する必要があります。

相続税の申告のために評価額を出す作業と並行して、「実際にいくらで売れそうか」を把握しておくと、納税資金の準備や、今後の方針(住み続ける・貸す・売る)を判断しやすくなります。相続した空き家をどうするか迷っている場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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相続税評価額は税務上の評価であり、実際に売れる金額(実勢価格)とは別物です。売却を検討する場合は査定で別途確認しましょう。

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株式会社Triiku 公式サイト|会社概要、2026年8月12日確認)

相続税評価額を確認したうえで、「実際にいくらで売れるのか」を知りたい場合も、無料査定のご相談を承っています。

よくある質問

Q1. 相続税の不動産の評価方法は?

土地は「路線価方式」(路線価×各種補正率×面積)または「倍率方式」(固定資産税評価額×倍率)、家屋は「固定資産税評価額×1.0」で評価します。どちらの方式を使うかは土地の所在地によって決まります。

Q2. 相続税の不動産の評価額は誰が決めるのですか?

土地の評価額は、国税庁が公表する路線価・評価倍率をもとに、相続人自身または税理士が計算します。国税庁の職員が個別に評価額を決めてくれるわけではなく、公表されている基準に沿って自分で(または専門家に依頼して)算出する必要があります。

Q3. 相続税の不動産の評価額はどうやって計算するんですか?

土地は路線価方式または倍率方式、家屋は固定資産税評価額をそのまま使う方法で計算します。詳しい計算式は本記事の「土地の評価方法」「家屋の評価方法」をご覧ください。

Q4. 固定資産税評価額と相続税評価額の関係は?

家屋の相続税評価額は、固定資産税評価額とそのまま同じ金額です。土地の場合は、倍率方式では固定資産税評価額に倍率をかけますが、路線価方式では固定資産税評価額を使わず、路線価をもとに計算します。

Q5. 自分の土地が路線価方式か倍率方式かは、どうやって調べますか?

国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、土地の所在地を検索すると分かります。路線価が表示されていれば路線価方式、路線価の表示が無く倍率のみが載っていれば倍率方式です。

Q6. 相続税評価額が分かれば、売却したときの金額も分かりますか?

いいえ、必ずしも一致しません。相続税評価額は税務上の評価額であり、実際に売却できる金額(実勢価格)は、立地や建物の状態、周辺の取引事例などをもとにした査定で別途確認する必要があります。

Q7. 賃貸中の土地・アパートも評価額は同じ計算方法ですか?

いいえ、異なります。他人に貸している土地(貸宅地)や、アパート等を建てて貸している土地(貸家建付地)は、自用地としての価額から借地権割合・借家権割合・賃貸割合に応じた金額を差し引いて評価します。自分で使っている不動産よりも評価額は低くなります。

Q8. 相続税には基礎控除がありますか?

はい、あります。「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算する基礎控除額があり、課税価格の合計額がこの金額以下であれば相続税はかかりません。法定相続人が2人であれば基礎控除額は4,200万円です。

まとめ|評価額の出し方を知り、売却の判断材料にも

この記事の要点

  • 土地は路線価方式(路線価×補正率×面積)か倍率方式(固定資産税評価額×倍率)で評価する
  • 家屋の評価額は固定資産税評価額とそのまま同じ
  • 賃貸中の土地(貸宅地・貸家建付地)は借地権割合・借家権割合等に応じて評価額が下がる
  • 相続税には基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)があり、これを超えた分に税率が適用される
  • 相続税評価額と実際に売れる金額(実勢価格)は別物

相続税の不動産評価額は、時価とは異なる独自の計算方法で決まります。まずは自分の土地が路線価方式・倍率方式のどちらに該当するかを確認し、大まかな評価額をつかんでおくとよいでしょう。正確な評価額の算定や相続税額そのものの計算は、税理士に相談することをおすすめします。

評価額を確認したうえで、「このまま持ち続けるか、売却するか」を検討したい場合は、空き家買取.comの無料査定もあわせてご活用ください。