管理不全空き家とは?まず結論
「市区町村から『管理不全空家』に関する通知が来た」「自分の実家が管理不全空家に当てはまるのか気になる」——2023年(令和5年)の法改正をきっかけに、こうした不安を持つ方が増えています。
結論からお伝えすると、管理不全空家等とは、適切な管理が行われておらず、このまま放置すれば「特定空家等」(倒壊のおそれなど、より深刻な状態の空き家)に該当するおそれがある空き家を指します。いわば特定空家等の“予備軍”という位置づけで、2023年の法改正で新しく設けられた区分です(国土交通省|空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律について、2026年8月15日確認)。
管理不全空家等は、放置すれば特定空家等になるおそれのある空き家として2023年の法改正で新設された区分です。指導・勧告を受けることがあり、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がるおそれがあります。特定空家等と異なり、命令・行政代執行の対象にはなりません。
- 管理不全空家等は特定空家等の“予備軍”という位置づけ
- 措置は指導・勧告まで。命令・行政代執行のような強い措置は規定されていない
- 勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が上がるおそれがある
本記事では、管理不全空家等の定義・特定空家等との違い・判断基準を解説し、指定を避けるための対策まで紹介します。断りがない限り、本記事の内容は2026年8月時点の制度に基づいています。
管理不全空家等の定義|法律上どう決まっている?
管理不全空家等は、空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「法」)第13条第1項において、「適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認められる空家等」と定義されています(国土交通省|管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する指針、2026年8月15日確認)。
この定義を理解するには、まず「特定空家等」が何を指すかを知る必要があります。特定空家等は、法第2条第2項において、次の4つのいずれかの状態にあると認められる空家等と定義されています(同資料)。
- (イ) そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- (ロ) そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- (ハ) 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- (ニ) その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
管理不全空家等は、この4つの状態そのものではなく、「このまま放置すればこの4つのいずれかに該当することとなるおそれがある」段階の空き家を指します。つまり、まだ特定空家等ほど深刻な状態ではないものの、放っておくとそこに近づいていく空き家、というイメージです。
相談者うちの実家、まだ倒壊しそうなほどではないのですが、それでも対象になりますか?
福田宅建士
はい、対象になり得ます。管理不全空家等は「今すぐ危険」な状態ではなく、「このまま放置すればいずれ危険な状態になりうる」段階を含む区分だからです。
管理不全空家等は、放置すれば「保安上危険」「衛生上有害」「景観を著しく損なう」等の特定空家等の4要件に該当するおそれがある空き家を指す、2023年新設の区分です。
特定空家等との違い|措置の重さが異なる
管理不全空家等と特定空家等は、対象となる状態の深刻さだけでなく、市区町村がとれる措置の重さも異なります。
| 区分 | とれる措置 | 措置の重さ |
|---|---|---|
| 管理不全空家等 | 指導(法第13条第1項)・勧告(同条第2項) | 行政指導にとどまる |
| 特定空家等 | 助言・指導・勧告・命令・行政代執行 | 命令違反には過料、代執行では強制解体も |
国土交通省の指針では、「管理不全空家等については、周辺の生活環境に及ぼし得る影響の程度が特定空家等ほど大きくはなっていない状況であることに鑑み、命令や代執行のような強い公権力の行使に係る措置は規定されていない」とされています(同資料)。つまり、管理不全空家等の段階でとどまっている限り、行政代執行によって強制的に解体されることはありません。
ただし、指導を受けても状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当するおそれが大きいと市区町村が判断した場合には、勧告に進みます。さらに状態が悪化すれば、特定空家等として指定され、命令・行政代執行という重い措置の対象になり得ます。特定空家等に指定された場合の過料の金額・行政代執行までの詳しい流れは、以下の記事で解説しています。
管理不全空家等の措置は指導・勧告にとどまり、命令・行政代執行は規定されていません。ただし放置すれば特定空家等に進み、より重い措置の対象になり得ます。
管理不全空家等・特定空家等の判断基準
管理不全空家等・特定空家等に該当するかどうかは、全国一律の数値基準で機械的に決まるわけではなく、市区町村が次の4点を勘案して総合的に判断するとされています(同資料)。
- 周辺の状況による悪影響の程度:被害を受けうる建築物・通行人等が周辺に存在するか
- 空家等の状況による悪影響の程度:想定される悪影響が社会通念上許容される範囲を超えるか
- 危険等の切迫性:特定空家等として措置する場合は、管理不全空家等より危険等の切迫性が高い状態であることが前提
- その他の状況も勘案した総合的な判断:地域の実情(景観保全ルールの有無、大雪・台風等の影響を受けやすい地域かなど)も加味される
このため、「うちの実家は大丈夫」と自己判断するのではなく、外壁・屋根の破損、雑草の繁茂、ゴミの放置などが気になる場合は、早めに自治体の空き家対策担当窓口に相談することをおすすめします。
判断基準は全国一律の数値ではなく、周辺への悪影響の程度・危険等の切迫性・地域の実情などを踏まえた市区町村の総合判断です。
管理不全空家等に指定されるとどうなるか
指導を受けても状態が改善されない場合、市区町村は勧告に進むことができます。勧告を受けると、固定資産税等の「住宅用地特例」(敷地の固定資産税評価額を軽減する仕組み)の対象から除外され、税額が上がることがあります(国土交通省|固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置、2026年8月15日確認)。特例の軽減率や税額の具体的な変化は、以下の記事で詳しく解説しています。
新設された年(法改正)
指導→改善なければ
勧告に進む
勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が上がるおそれがあります。数値の詳細は「空き家放置リスク」の記事を参照してください。
管理不全空家等に指定されないための対策
管理不全空家等に指定されないためには、日頃からの適切な管理が基本になります。窓を開けての通気、水道を流す通水、庭木・雑草の手入れ、郵便物の整理といった定期的な管理を続けることで、外壁・屋根の破損や雑草の繁茂といった「悪影響」の芽を摘むことができます。自分で管理する方法の具体的な頻度・チェックリスト、管理サービスに委託する場合の費用相場は、以下の記事にまとめています。
あわせて読みたい空き家の管理はどうする?自分でやる方法・費用相場と業者選び空き家の管理はどうするか、自分で管理する方法とチェックリスト、費用相場、空き家管理サービスの選び方までまとめて解説します。2026年7月時点の制度に基づく内容です。
💬 管理不全空家等の入り口は、「気づいたら外壁が傷んでいた」「雑草が伸び放題だった」という日頃の管理不足であることがほとんどです。定期的な巡回だけでも、指定のリスクは大きく下げられます。
定期的な通気・通水・庭木の手入れなど日頃の管理を続けることが、管理不全空家等の指定を避ける基本的な対策です。
それでも管理が難しい場合の選択肢|売却という判断
遠方に住んでいる、時間や費用をかけられないといった事情で管理を続けるのが難しい場合は、売却・買取によって空き家を手放すことも現実的な選択肢です。管理不全空家等に指定される前に手放してしまえば、指導・勧告のリスクや、勧告後の税額増加を心配する必要もなくなります。
相談者管理を続ける自信がありません。指定される前に売ってしまうという判断もアリでしょうか?
福田宅建士
十分にアリです。管理の手間や費用を払い続けるより、早い段階で査定を受けて手放すほうが、結果的に負担が少なく済むケースは多くあります。
管理を続けるコストと売却という選択肢の比較は、以下の記事でも詳しく解説しています。
管理を続けるのが難しい場合は、管理不全空家等に指定される前に売却・買取で手放すことも有力な選択肢です。
空き家買取.comの買取査定について
本サイト「空き家買取.com」は、株式会社Triikuが運営しており、空き家・相続物件の直接買取を専門に行っています。
- 宅地建物取引業免許番号:東京都知事(01)第111976号
- 所在地:〒105-0003 東京都港区西新橋2丁目39番3号 SVAX西新橋ビル4F
- 電話番号:03-6845-0996(受付時間 10:00〜19:00、年中無休)
(株式会社Triiku 公式サイト|会社概要、2026年8月15日確認)
「管理不全空家等に指定されるか不安」「管理を続けるのが難しい」という空き家でも、まずは無料査定のご相談が可能です。
よくある質問
Q1. 管理不全空き家の判断基準は?
全国一律の数値基準はなく、周辺への悪影響の程度・空家等の状況・危険等の切迫性・地域の実情などを踏まえて、市区町村が総合的に判断します。適切な管理が行われず、放置すれば特定空家等(保安上危険・衛生上有害・景観を著しく損なう等の状態)に該当するおそれがあると認められる空き家が対象です。
Q2. 管理不全空き家に指定されるとどうなりますか?
まず市区町村から指導を受けます。指導を受けても状態が改善されない場合は勧告に進み、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がるおそれがあります。命令・行政代執行のような強い措置は、管理不全空家等の段階では規定されていません。
Q3. 特定空き家と管理不全空き家の違いは何ですか?
管理不全空家等は「放置すれば特定空家等になるおそれがある」予備軍の段階で、措置は指導・勧告にとどまります。特定空家等はより深刻な状態で、助言・指導・勧告に加えて命令・行政代執行という強い措置の対象になり得ます。
Q4. 管理不全空き家の固定資産税はいつから上がりますか?
勧告を受けた場合に、翌年度から固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税額が上がるおそれがあります。指導の段階では住宅用地特例に影響はありません。具体的な軽減率・税額の変化は「空き家放置リスク」の記事で解説しています。
Q5. 管理不全空き家に指定されないためにはどうすればいいですか?
窓を開けての通気、水道を流す通水、庭木・雑草の手入れ、郵便物の整理といった定期的な管理を続けることが基本的な対策です。管理が難しい場合は、管理サービスへの委託や、指定される前に売却・買取で手放すことも選択肢になります。
まとめ|早めの管理か、早めの決断を
- 管理不全空家等は特定空家等の“予備軍”として2023年に新設された区分
- 措置は指導・勧告まで。勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が外れる
- 判断は市区町村の総合判断。全国一律の数値基準ではない
管理不全空家等は、まだ特定空家等ほど深刻ではないものの、放置すればそこに近づいていく段階の空き家です。定期的な管理を続けることが基本的な対策ですが、管理を続けるのが難しい場合は、指定される前に売却・買取で手放すことも有力な選択肢です。空き家買取.comでは、管理に悩む空き家の無料査定を承っています。